闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
もう少しぶらぶらとお店を覗きたかっけど、私たちは家へと戻った。
そこから自称将来のカリスマヘア&メイクアーティストの椿さんのメイクアップ時間が始まった。
髪は緩く巻き、片方にまとめてチラリとうなじを出す。
ブラウン×ゴールドのシャドウで輝きをちらつかせ、口元には淡いピーチブラウンのリップをのせる。
完成した姿を見て、自分でもなかなかの満足度だった。
午後6時。
丘から伸びている階段を降りて、私は時計とチケットを見た。
会場の場所が書いてなくて、ここが記されていた。
「誰もいないけど…… 」
不安げに周りを見渡していると、林の奥から1台の車がこちらに向かってきた。
あれはまさか…!
キイィと私の前に止まると、助手席の窓が開いた。
「乗りなよ 」
運転席からそう声を掛けてくれたのはレイだった。