闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
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「で、今度は人魚? 」
ソファーに俯せて本を読んでいると、飽きれた口調でお姉ちゃんが近付いてきた。
「今度って何が? 」
「あんたの部屋にヴァンパイアの本がわんさか置いてあったわよ 」
「あぁ…… 」
しまった。
返却日いつだったかな。
「あんた大丈夫? 人魚はともかく、なんでそんな真剣に妖怪のこと調べてんの 」
妖怪って……
ムスッとしてお姉ちゃんを見る。
「これは演劇会の課題なの。妖怪とか… 」
言わないでよ。
ルキアがそう言われてるみたいで、なんか嫌。
「そういえば、ジャック・ザ・リッパーって知ってる? 」
「切り裂きジャック? ロンドンの殺人鬼よ。確か未解決事件で謎が多いのよね 」
げっ――!
あの子、そんなの題材にしたの?
そりゃ、採用されないよ…。
優希って、ちょっと不思議な子だよな。