闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「それがどうかした? 」
疑わしい目で私を見てる。
余計不信感を与えちゃったか?
「ただ聞いただけ。別に興味ないよ 」
私はね。
そう言ってペラペラとページをめくる。
「人魚って綺麗だけど、本当は恐れ哀しいって聞いたことあるけど、実際にいたのかな? 」
本を覗き込みながらぶつぶつと呟いている。
「お姉ちゃんって、意外といろいろ知ってるよね。なんで? 」
「私、知識と感だけはあるの。いつでも頼ってきな 」
頼もしいお姉様。
困ったら助けてもらお♪
「でも、ヴァンパイアとか人魚みたいな生き物をテーマにどうシナリオ作るつもり? ファンタジーな戦い? 恋愛? 」
「まだいいの。今は調べる段階なんだから 」
そうプクッと膨れて本に目を戻した。
さっきから生き物とか妖怪とか化け物呼ばわりして。
やっぱり、普通の人にとって彼らは怪物なんだろうか。
受け入れられないのかな。
なんだか切なくなって、胸がキュンと苦しくなって、気を紛らわせるかのように必死に目で文字を追った。