闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「実は前ね、エドマンドの車を駐車場からこっそり見てたんだけど、途中で見失っちゃて 」
そんな事してたんだ。
「でも変なの。確かに森の方へ走って行ったのに、付けて行ったら行き止まりで 」
「行き止まり? 」
私は目をぱちぱちと動かして優希を見た。
「そう。絶対あの道で合ってたはずなのに、道がなくて。曲がったようには見えなかったし 」
返す言葉が見つからない。
なんと反応したらいいかわからず、私はただ「へぇ」や「ふーん」としか言えなかった。
「反応薄くない? 樹里は知りたくないの? ルキアの家 」
「そ、それよりさ! 早く、調べようよ 」
強引に話を変えると、ペラペラと本をめくってみせた。
「そうだね」と優希も素直に課題を始めてくれたからよかった。
「人魚の歌ってさ、人を魅了するくらい素敵らしいね 」
手を吹きながらお姉ちゃんが話に入ってきた。
「そうなんですよ! 解説によると、浜辺や湖で男性を見かけると、歌で虜にさせて泉の中に引きずり込むらしいですね 」
なんだなんだ。
なんか2人で力説し出したぞ。