闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「どれだけ虜にさせても、自分の物にはならない。寂しいですね 」


「ほんとお気の毒。 愛を知りたくて、たくさんの人を犠牲にしてる 」


「さっきから、何言ってるか全然わかんない。 なんで自分の物にならないの? 」


ようやく口を挟むことが出来た。


テンポが良すぎて、会話についていけない!


「……湖の中に引きずり込んだら、普通の人間は溺れるでしょ 」


「まあ、人間のエキスを吸って美しさを保っていたという説もあるから、実際のとこは分からないけどね 」

2人の呆れた視線を感じ、私は小さくなる。


そんな事知らなくても生きていけるもん!


てか、普通そんなに詳しく人魚のことなんて知らないでしょ。


優希は分厚い本を私の前に置くと、細かい文字を指差した。


「ここを見て。 人魚は、若い男性や女性の血で体を洗い、髪や肌の美貌を保っていたとも言われている 」


「血?! 気持ち悪い 」


血の水だなんて、想像しただけで吐き気がする。

ルキアは、この話を聞いても普通なのかな。

首を振りながら、頬をパチパチと叩く。

もうやめやめ。



「そういえば美女と言えば、この前のパーティーで見た人…夢で見た感じに似てた 」


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