涙飴
「五十嵐気付いてたの!?」


「は?榎田のあの慌てぶりを見れば誰だって分かるだろ」


それもそうか。
でも、何か意外だと思った。
勝手なイメージだけど、五十嵐って、人の事とかあんまり気にしなさそうだし。


窓からの夕日の光が、机も床もあたしも五十嵐も、すべてをオレンジに染める。

まるで、オレンジのサングラスでもかけたかの様に感じた。


「あのさぁ、さっきお前、聞きたかったから聞いたって言ったよな?」


あたしはさっき自分が言った言葉を思い出した。
怒っているのだろうか。
あたしの体が無意識に強張る。


「うん……言ったけど」


「じゃあ、俺も聞きたいから聞くけど……何で文化祭の時泣いてたの?」
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