俺はお前だけの王子さま
少し驚いた顔で私を見る王子くん。


水梨くんは困った顔で
私の前にしゃがみこんだ。


「愛子ちゃん…泣かなくて良いよ?」


「っ…ぅ…」


「ごめんね?俺ら怖かった?」


水梨くんは
泣きだしてしまった私の頭に手をやろうとした。


だけど、

一瞬宙をさまよったその手は
そのまま引っ込められた。


「あ―…とりあえず…」


ゆっくり立ち上がった水梨くんは振り返って王子くんを見る。


「ここは…春馬に任せるわぁ」


「…あ?」


「俺らもう別れたし」


そう言うと
ヘラっと笑った水梨くん。


「加奈子ちゃんも、待ちっぱっしょ?俺もう戻るんで後よろしく~」


水着のポケットに手を突っ込むとその場を去ろうとした水梨くん。



「あ!」


水梨くんは思い出したように
クルリと振り向くと王子くんに言った。



「春馬、これで俺の期待裏切ったらマジで親友やめっからな」



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