俺はお前だけの王子さま
私の言葉に、王子くんはようやく私と目を合わせた。


「………」


王子くんの吸い込まれそうな黒い瞳が、私の心を捕らえる。


落ちてきた陽で少し逆光になる王子くん。


王子くんは視線ひとつで
こんなに私をドキドキさせる…



王子くんはそのまま
私の隣に腰を下ろした。


「別に…あんなんいつもの喧嘩の延長みたいなもんだから。」


「そう…なの?」


私の方に首を向けて静かに頷く王子くん。


「本気で罵りあってないのは、お互い分かってっから…」


そう言うと、

王子くんは腕を少し伸ばして
指で私の涙に軽く触れた。


少し心配そうな目で
私の顔をのぞきこむ。


「けど…泣かせて悪かった。」


「………」



軽く触れられた頬から体中が熱くなって



動けなくなる



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