小話の寄せ集め
それと魅力はまだある。
『失礼しまー…居た!居たよ、ヒンちゃん』
『あ、居た。ビンゴっ』
生徒会室の扉を恐る恐る開いた女生徒二人。
室内に居たヒンを見るなり、ぱぁっと表情を明るくした。
『ヒンちゃん、あの…』
「ほいほい。何かな?移動しましょーか?」
『ううん!大丈夫。……あのね、私たち、ヒンちゃんに勉強教えてもらいたくて…』
「勉強、スか?」
聞き返すと、もう一人が何度も頷いた。
『うん!崎川さんから聞いたんだけど、ヒンちゃんってすごく教え上手だって!』
『私たち成績が、その…よくなくて…』
『すごく後が無いの』
なるほど。
どうやら同じクラスのサキちゃんから回ってきたらしい。
道理で他のクラスの子達だと思った。
ちょっと前までは生徒会室にはもっと女生徒が来ていた。頻繁に。
しかしそれは生徒会メンバーに近づきたいが為に些細な用事で訪れていた者たちばかり。
しかし今ではヒン目当ての来訪者ばかりで、それはそれでメンバーは複雑なのだが。
「わざわざ生徒会室まで…。遠路はるばるご苦労様ッス!
もちろんおっけ、引きうけましょー」
『本当!?』『ありがとう〜!』
まったく…本当にお人好しだ。
女生徒二人に固く手を握られて感謝されてるヒンを、呆れつつもメンバーは温かな眼差しで見つめるのだった。