Fahrenheit -華氏-

不思議だな。


誰かが傍にいるのって、正直面倒くさいと思ってた。


誰かに本心を打ち明けることなんてないと思ってた。


気を遣うのも、もう嫌だったし、相手に合わせるのなんて持っての他。


ましてや変な風に同情されるのは一番嫌。





でも今は―――、一人になりたいのに、誰かに傍に居てほしいと願う自分がいる。




あたしが自分の本心を打ち明けたのは、きっと部長が初めてだ。


部長は……あたしの根本にあるものを知らない。


彼も彼で、きっとあたしの深いところまで立ち入りたくないだろうから、あれこれ聞いてこない。



だから楽。





「もう誰かに振り回されるのはいや。


あたしは誰かの為に生きているわけじゃない。


あたしはあたしの好きなように生きればいいじゃない」


心の中でそんな声が囁く。



そう



それは日本に来るときに誓った言葉だ。



他の誰の為でもない



この世でたった一人の―――あたしの為に……




「行きます。―――連れてってください」


あたしはそう答えた。




.。・*・。..*・ Side Ruka End ・*..。・*・。.







< 390 / 697 >

この作品をシェア

pagetop