悪魔的ドクター
「なんでもないですよ。見てもないですしッ!まったく先生は何を言い出すんですか〜」


「…ふーん」



疑ってらっしゃる。


この際
思い切ってハッキリと
白石さんとの事聞いた方がいいのかもしれない。



「ぁの…先生?」


「ん?なんだ?」


「しらい…」




━━━━━ピンポーン……




『白石さんとは、これからどうするんですか?』

…と聞く前に。
むしろ名前を出す前に
タイミング良くマンションのチャイムが鳴った。



「悪い。ちょっと待ってて」


「はい…」



また聞きそびれてしまった…。
やっぱり『触れるな』って事なのかな?



「はぁ…」



こんな切ない気持ち…初めて。




自分の食べ終わった食器を洗っていると、先生が早足にリビングの前を横切っていった。


気のせいか
一瞬、誰かを抱き抱えている様に見えたけど…


何かあった…?



変な胸騒ぎを覚えたあたしは
食器を洗う手を止めて
様子を見に、後を追った。




着いた先は
先生の部屋。


開けっ放しのドアから
恐る恐る中を伺うと
見えたのは…

先生がベッドの上に誰かを寝かせている姿だった。



その"誰か"が見えた時
あたしは驚きとショックを
同時に受けた。



どうして白石さんが…?





< 237 / 281 >

この作品をシェア

pagetop