スカイ・ライン
 

こちらに目もくれない様子で屋上へ突き進む女生徒に、俺は唖然として立ち尽くした。

彼女はスカートから鍵を取り出すと、すっと屋上の中に入っていった。

その瞬間、彼女に対する様々な疑問が俺の脳内を駆け巡った。

いつから入り始めたのか。

今までも入っていたのか。

鍵はどうやって手に入れたのか。



それはほとんど衝動的だったように思う。

気付けば、屋上に入っていた。

彼女にそれらを訊くために。


そこから見える空は、辺り一面息を呑むほど美しいオレンジに染まっていて、俺は目を輝かせた。

だが感動に浸っている余裕はなかった。

俺は奈緒に話しかけた。


「なあ。その鍵、どうやって手に入れたの?」

と。


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