【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「柚姫ちゃん、ごめんね?こいつらが…。」
困った顔でそう言ったのは、愁生さんだった。
そんなことない、と首を振ろうと思ったのだけど、どうしてか振れずそっと俯く。
そんなあたしの心情を察してくれたのか、慎重に言葉を選びながら愁生さんは言った。
「あのさ、余計なことだったら申し訳ないんだけど…。弾きたくないなら、無理に弾かない方がいいと思う。」
やっぱり、そうだよね…。
「…でも、せっかくアキのお墨付きなのに聴けないのは、俺的にもったいない感じがするけどね。」
え…?
「アキが、こんな風に執着するのって君が初めてなんだよね。いつもはさ、すまして気取ってるでしょ?」
すまして気取ってるって…。
今も優兄と言い合う暁くんの顔を見たら、なんだか笑えてきてしまった。
「…だいたいお前、なんで柚がピアノ弾けるって知ってんだよ。ぶん殴るぞ」
「結構前から知ってたけど?なんで知ってるからって優輔に殴られなきゃいけないの。柚とちょっと幼なじみだからって、なんか調子乗ってない?」
「てめ…っ!よし、歯ぁ食いしばれ!もう許さねぇ!」