【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
至ってにこやかに答える暁くんだったけど、その声音にはどこか棘があったような気がした。
「…柚。弾かなくてもいいからな。」
「優輔はこう言ってるけど、どうなの、柚は?弾きたくないのなら無理にとは言わない。けど俺は君の音が聞きたい。」
あ…。
―――あたしっ、アンタの音が聞きたい!!―――
暁くんの一言が、懐かしい記憶を頭の片隅から引っ張り出してきた。
かつて、この一言からあたしたちの夢が始まり、
その台詞を言った、苦手なタイプだった女の子はあたしの親友になった。
「お前らなぁ、いい加減に…っ」
原田さんたちが二人を仲裁してくれている中、あたしは1人葛藤していた。
これ以上、音楽に深く関わってはいけないという気持ちと
もう一度あの曲を弾きたい、あたしの音を聞いてもらえたら…って気持ち。
どうしたらいいんだろう…。