わたしとあなたのありのまま
「ふざけんな。
 出てよ、早く。
 今すぐこっから出ろ!」

 言って、田所の背中を両手でギュウギュウ押してやる。

「てめっ」

 と振り返り、田所は片肘を立てて上体を少し起こして私を見下ろした。

「それ以上やったら犯す」

 低い声で冷ややかにそう言った。

 咄嗟にクルリと寝返り、今度は私が田所に背を向けた。
 本気じゃないってわかっていたけれど。

「田所くんは非常にお疲れのようですから、そこでゆっくり休まれたら良いと思います」

 しぶしぶそう言ってやった。

 背後で田所がブッと吹き出した。
 また私、笑われているんだね。

「あれ? ほのかちゃん、俺とエッチしたくないの?
 俺のこと好きなのに?」

 笑いながら田所が言う。


「悠斗くん、『犯される』と『エッチする』は全く別の行為です。
 それに私は、あなたのことを好きではありません」

 丁寧に教えてあげました。


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