わたしとあなたのありのまま


 泣いていることに気付かれたくなくて、
 でもどうしても肩が震えてしまって……

 田所はそんな私に、「ほのか?」と不思議そうに声を掛ける。


 こんな時に優しく名前で呼んだりしないで欲しい。


「おい、こっち向け、ほのか」

 私は頑として振り返らなかった。

 そしたら、
 田所は私の左肩を掴んで引き、そのままベッドに押さえつけて私を仰向けにした。


 だって田所は……

 私の気持ちが迷惑なんでしょう?


 涙が止め処なく流れ出た。

 どうして私は泣いているのだろう。
 自分でもさっぱりわからない。

 好きな人に涙を見せることは、とても卑怯なことなのに。

 そして、
 田所を困らせるだけなのに。


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