たった一人…。

ある国の王子さまは、結婚の約束をしたお姫様に1つの宝物を残し居なくなってしまう。


『時期がくるまで、絶対に開けないでほしい。』


それから1年が過ぎ、2年が過ぎようとした頃、王子が着て出て行った服が海から引き揚げられたと噂で聞く。
慌てて見に行った姫は、王子の物だと確信する。
なぜなら、その服には姫がお守りにと刺繍をしていたから。
落胆し城に戻った姫は、王子が残した宝物を開けた。
すると、その中には手紙が。

『愛する姫へ。私は、おそらく帰っては来れない。この手紙を読む頃、私は生きているだろうか。その城の中には、私を暗殺しようと企む奴がいる。その事に姫を巻き込みたくはない。私が居なくなる事で、姫は自由と幸せと平和を手に入れる事が出来る。頼む、私の分まで幸せで居てくれ。それが、私の生涯の願いだ。』



涙が頬をつたうのが分かった。

目が覚めた私は、なぜかとても怖い気持ちを感じた。

『早く夜になって…』

夜になれば、彼がやってくるから。


時計を見ると、もうすぐ17時になる。

あと、もう少し。

あと、もう少し…。



でも、20時になっても彼は来ない。

私が見た夢。

怖い…。

お願い、早く来て。

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