たった一人…。

22時…。


♪♪♪~

!彼からの着信!

「もしもし?大丈夫?」

「ああ、すまんな。今から行くから。何か欲しいものあるか?」

「…。秀人。秀人が欲しい。」

「ああ、分かった。」



それから、30分。


やっと秀人が帰って来た。



「いつも待たせてばっかだな。」

「ううん、いいの。慣れてるから。」

「すまんな。」


彼が買って来てくれたスムージーを飲みながら、台所に立つ彼の背中を見つめる。


「おい。ずっと見るなよ。」

「え?バレてた?」

「おまえがやりそうな事くらい、お見通し。今日はずっと側に居るから、安心しろ。」

「…。はい。」



彼と1つの布団に入り、彼の腕枕で寝る。

前は当たり前だった事が、今はとても新鮮に感じる。



「熱も下がったし、良かったな。」


私は小さく頷き、彼の胸に手をあてて目を閉じる。


以前のような恐怖感や動悸は無くなった。

彼の温かい肌が私の全部を包み込んでくれる。




朝…。

私は彼よりも先に目が覚めた。

熱を計ると36.4℃。


よし!今日から出勤出来る♪


二人分の朝食を作り、支度を始める。


「ねぇ、そろそろ起きて。」


「んっ…ん。」


寝癖のついた髪、のびた髭。

最初に手をのばすのは、やっぱりコーヒー。



久しぶりの二人での出勤。

会社に着くと、山積みの書類が…。

見るだけでため息が出る。


仕方なく、書類の山を抱えて2階の事務所へあがる。



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