たった一人…。
秀人…。
そこまで考えてくれてたなんて…。
私、勝手に不安になってた…。
「ありがとう。」
その言葉しか声に出来なかった。
呼吸を落ち着かせるのに、必死だった。
頭がクラクラする。
ちょっと過呼吸になったかな…。
力が抜け、彼に身を委ねる。
「大丈夫か?すまん、不安にさせて。」
「うん、大丈夫。最近、秀人は謝ってばっかだね。」
「ああ、そうだな。」
「いつから研修に行くの?」
「来月の予定だが、はっきりした事はまだ分からない。」
来月…。
もうすぐじゃん。
あっという間に居なくなっちゃうだね。
それからの毎日は忙しかった。
私は階級をあげる為の勉強をしながら、実績を残す為に仕事もこなす。
彼は研修に行くまでに終わらせておかない仕事がたくさんあって、ほとんどプライベートでも一緒に過ごす事は出来なかった。
連絡を取る事もあまり出来ないまま、時間はどんどんと過ぎていく。
さすがに私の体も悲鳴をあげた。
毎日クタクタになるまで仕事をやって、帰っても勉強をする。
睡眠時間は三時間程度。
でも、この努力が秀人とのこれからの為だと思えば、体の悲鳴でさえも幸せに感じられた。
でも私の犯している罪は、簡単に幸せは与えてくれなかった…。