幸せの寄り道



どのくらい泣いていたかはわからないけど少し落ち着いてまた海を眺めた





「お嬢さんどうしたの?」







声をかけられ少し驚きながら振り向くと優しそうなおばあちゃんがいた





「おや、泣いていたのかい?」




私の顔を見て少し心配そうに駆け寄ってきた




「なんでもないです、ご心配していただきありがとうございます。」




私が笑って言うとおばあちゃんは優しく頭を撫でてくれた




「しっかりした子だねぇ、そんなに私に気を遣わなくていいよ。」



おばあちゃんはハハッと笑いながら言った




「ありがとう、おばあちゃん。」



「それよりなんか悩み事かい?」


優しく、でも真剣におばあちゃんは聞いてきた




「たいした事じゃないよ、ちょっと疲れてただけなの。」




「あんた嘘ついただろう。私にはお見通しだよ?」



どうだ!!と言ったようなおばあちゃんはとても暖かく感じた



「そうみたいだね。」


私もつられて笑った



「あんた名前は?」




「夏川陽向」



私が砂浜に書きながらそう言うとおばあちゃんも同じように名前を書いた



"澤村明子"



「さわむらあきこ?」



「そう、いい名前だろう?」



嬉しそうに言うおばあちゃんは幸せそうだ


「おばあちゃんにとても似合ってる」



「だろう?でも今のあんたは名前に合ってないなぁ」



「え?」



「だってあんたの名前は陽に向かうって書くんだろ?なのにあんたは地面に向かってるじゃないか。」



おばあちゃんは悲しそうにそう言って海を見た



「確かに私ここ最近、地面ばっかみてるなぁ…」



「その理由は聞いていいかい?」



海を見たままおばあちゃんは聞いてきた






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