孤高の天使
何を……なんて、今まで散々投げかけられた言葉の数々が物語っていて。
“愛している”
何度となく耳元で囁かれたそれ。
愛し合う以前に二人の間には絶対的な信頼があったのだろう。
ラファエルは“イヴ”だと思っている私が傷つけるわけがないと信じていたのだ。
けど、それは“イヴ”に対してだもの…
彼女と同一人物ではないと否定していた私がどんな行動に出るかなんて分からないじゃない。
そんな私の考えを察したのか、ラファエルはクスッと笑う。
場違いなラルフの笑みに、ムッと口を曲げラファエルを睨む。
なんだか一人で真面目に悩んでいる自分がバカみたい。
こんなに心配してるのに……
そこまで考えてふと思う。
心配……?
何で私ラファエル様のことを心配してるんだろう。
聖剣を突き立てた時に心臓がつぶれそうなほど痛くなったり。
ラファエル様が消えるかもと思った時には涙が溢れた。
長くラファエル様に愛を囁かれて“イヴ”になった気になったのだろうか。
「涙は止まったみたいだな」
「ぁ………」
不意に落とされた言葉に、ハッとして自分の手を頬にあてる。
考え事をしている間に涙は止まっていた。