孤高の天使
ラファエルの手に触れる直前。
不意に差し伸べていた手が動き、私の手を掴む。
グイッ……――――――
「きゃっ…」
腕を引かれてたどり着いた先はラファエルの胸の中。
すっぽりと収まるその中で見上げる暇もなく、膝の裏に回った腕でいとも簡単に抱き上げられる。
「さぁ行こうか」
バサッと広がる大きな6枚羽。
え?と思った時にはすでに6枚羽が空を切り、体が浮く。
「散歩ってこういうことなんですか?」
「なんだ?歩くと思っていたのか?」
クスッと笑うラファエルに顔を赤くしながらもコクンと頷いた。
私の散歩はいつも歩きか、ラバルの背に乗って…だもの。
「羽があるのだから飛ぶに決まってるだろう」
そう言ってラファエルは私を抱きなおす。
「さぁ、一気に行くぞ」
その言葉にヒュッと喉を鳴らし、焦る。
まさか…と思った時にはすでに遅く。
「まっ……――――ッ」
口を開く間もなく、ラファエルは天窓を超えて夜の空に飛び立った。
「ッ………!」
急な浮遊感とその速さにラファエルの胸に顔を埋め黒衣をギュッと握ることで耐える。