孤高の天使



「大丈夫だから目を開けてご覧?」


ゆっくりと促される声に、ラファエルの胸の中でゆっくりと頷く。

ラファエル様の言葉は私に不思議な力をくれる。

さっきまで目を開けるなんてできないと思っていたのに、今はラファエル様の腕の中でなら目を開けても大丈夫かもしれない…という気になっている。





「絶対に離さない」


その言葉に背を押され、ラファエルの胸に顔を埋めたまま恐る恐る目を開く。

まず目に入ったのは黒衣、そして視界の端に映る夜の空。

ずっと目を閉じていたからか暗闇に目が慣れ、むしろ外の世界の方が眩しかった。

だんだんと目が慣れ、周りの景色が明らかになったところで…




「ッ……!」


見なければいいもののラファエルの胸の中から、下を見てしまった。





何処までも深い闇―――――


それはまるで闇の滝を覗きこんだ時のようで…

カタカタと手が震えるのに体を引き戻すことができない。

そればかりか、ラファエルの腕を離れて吸い寄せられるように闇に引き込まれる。



怖いのに…体が闇に引き寄せられた。


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