孤高の天使
「何をおっしゃっているのか分かりませんわ、ラファエル様」
眉を寄せ、しおらしく首を傾げるアメリア。
「そう言う事か…どうりで……フッ…俺も腑抜けたな」
ラファエルは一人納得し、自嘲気味に笑う。
「これほどの幻影も見破れぬとは…疲れで目が曇ったか…」
そう言った後、眉間に皺を寄せたラファエルがまっすぐとアメリアを見据えて口を開く。
「茶番は終わりだ“アメリア”」
え……今なんて……
ラファエルの口から出た名に驚愕した。
「ッ……何を…」
自分の名を呼ばれたアメリアも僅かに動揺を見せる。
冷たく見下ろされ、不自然に笑顔が引きつっている。
「よりによってイヴに成りすますとは…余程俺を煽らせたいらしい」
フッと挑発的に上がる口角が怒りの程を表していた。
アメリアはゴクリと唾を飲み込み顔面蒼白になるも、ラファエルに向かって言い張る。
「私はイヴです!」
自棄になっているのか、その声は部屋に大きく響いた。
ズイッと近寄る体をラファエルが制止する。
「寄るな」
ただ一言、冷たい視線と共に落とされた言葉。
アメリアから笑顔が消えた。