孤高の天使
「なんで…私はイヴなのに…」
俯き、ダラリと腕を降ろして独り言のように呟くアメリア。
そんなアメリアを見下ろし、ラファエルは淡々と話す。
「姿形はイヴに似せていても、匂いまでは隠せまい。お前のつける香水は鼻につく」
「ッ……」
アメリアはしまった…とばかりに息を飲む。
そうか…アメリアさんを抱き寄せた時に気付いたのね。
良かった……
ラファエルが気づいてくれたことに心の底から安堵した。
けれど、一方で僅かな疑問も残る。
私とアメリアさんが接触していたとしたら、香水の移り香があったとしてもおかしくない。
そう考えれば、目の前の“私”をアメリアさんだと断定することは難しいんじゃ…
「これはきっとここに来る前にアメリア様にお会いしたからですわ」
アメリアも咄嗟に出てきた理由を口にする。
「では指輪はどうした」
ラファエルはアメリアの左手を取り、目の前に持ってくる。
指輪……これがあったんだ…
私とラファエル様を繋ぐ唯一のモノ。
ラファエルの言葉に自分の左手にはめられた銀色の指輪を見る。
「え?」
一方、何の事か全く分かっていないアメリアはただ呆然と左手を見つめた。
「覚えていないのか?」と挑発的に問うラファエルに沈黙が続く。