孤高の天使



「爪が甘かったな…アメリア」


沈黙を肯定と取ったラファエルは、確信を得て目の前の“イヴ”をアメリアと認める。

アメリアはついに観念したのか、悔しそうな表情を浮かべて俯く。

そして、私に成りすました時と同様に光に包まれ、元の姿に戻った。





「完璧だと思ったのに…」

「そうだな…だがお前は重大なミスをした」


声を落とすラファエル。

左手の薬指にはめた指輪をギュッと握り、静かに口を開く。








「イヴは…俺に愛しているなどとは言わない…」




眉を寄せて告げるその言葉はアメリアではなく、自分を傷つけているようで…





ラファエル様……



アメジストの瞳が哀しみの色を映した姿を見て、心臓がギュッと鷲掴みにされたような苦しさを覚える。




けれど…ラファエル様…

私には言えないの…

例え自分の気持ちに気付いたとしても。

この気持ちが愛だとしても。



“愛している”と言う言葉は私のものじゃないから…

私はそんな虚しいだけの気持ちは味わいたくない。





「愛されていないと知っていて何故…あの子は天使ですのよ?」


正体がばれたアメリアは感情のままに訴える。

天使だと言うことは知っているはずだが、まだそれを掛け合いに出すのは二人を引き離したいからだろう。




しかし―――――



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