孤高の天使



「俺は俺と同じ感情をイヴに求めていない。俺への感情を忘れていることがイヴの幸せにつながっているのなら、それでいい」


何故かその言葉に目頭が熱くなった。

真綿で包まれているような温かな感覚が心にしみて。

安心するのに、涙が溢れる。

もし私が“イヴ”で、ラファエル様に関する何かを忘れていたとしても、こんな言葉をくれるのかと思ったら胸が痛い。

だってそれは最も愛する人から自分が欠け落ちていると言うことで。

とても辛いはずなのに相手の幸せを想えるのだから…




次から次へと溢れ出る涙は私のものではないかのように流れ続けた。





「それよりも、イヴが天使だとどこで知った。イヴは今どこにいるんだ」

「さぁどこでしょうね」


睨みを利かせ詰め寄るラファエルにアメリアは笑って応える。

自分が“イヴ”に適わないと分かって吹っ切れたのか、妙な余裕が出てきたアメリア。





「無事なんだろうな」


何かを察したラファエルは声を低くして問う。





「今はまだ…ね」


フフッと妖艶に笑うアメリアにラファエルの瞳が鋭く細められる。

「どういう意味だ」と説明を求める凍てついた声に、アメリアは待っていましたとばかりに話し始める。



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