孤高の天使



「お前がこの場に在りながらイヴを冥界へ送ることができるのはあの滝へ放り込むことの他ないだろうとは思っていた」

「けれど、あの子の居場所が分かったところで状況は変わりませんわ」


残念ながらアメリアの言う通り…

私がいるこの場所は城からもっとも離れている場所。

助けに来れる距離でもない。



しかし、ラファエルは何も言わずにアメリアを見据える。

終始無言を通すラファエルにアメリアはゴクリと唾を飲み込んだ。




「イヴが死んでも良いのですか?」

「死なせない」


まるで自分に誓うように言葉を発する。

一方のアメリアはラファエルの言葉に笑みを抑えることができない様子。




「いくらルシファー様でも間に合いませんわ」


クスクスと笑うアメリアに覚悟を決める。





間に合わないことは分かっている…

アメリア一人が城へ飛ぶために複数の悪魔が必要で。

しかも、フェンリルの力を限界まで吸い取るくらいの魔力が必要だったのだから…




きっと間に合わない……




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