孤高の天使


一瞬でラファエルの顔はぼやけてしまい、けれどその存在を視界から消したくなくて頬を包むラファエルの手に触れた。

そっと触れるだけの距離がぴたりと重なったことにピクッと反応し、ラファエルの指先が強張る。




「イヴ?」


不安気なラファエルに応えようと息の詰まる喉を振り絞って「はい」とただ一言だけ返すと、ラファエルが目を大きく見開き息を飲むのが分かった。

その瞳はまだ紅が入り混じり、完全には闇を抑えきれていない様子。

だけど…またこの瞳に私を映してもらえた。



それがとても嬉しかった――

緊迫したラファエルにふわりと柔らかな笑みを向けて口を開く。




「おかえりなさい」

「ッ……イヴ!」


明瞭な声で告げた声にラファエルはハッと我に返ったように反応し、私を強い力で掻き抱いた。

そして私の肩口に頭を埋め、嗚咽を殺したように声を詰まらせる。

私はただ広い背中に腕を回し、震える体を撫でた。

トン、トンとゆっくりと一定のリズムで背を叩いていると、別れを惜しむようにゆっくりと離れたラファエル。

向かい合い、ラファエルの表情が目に入った瞬間、キュッと胸が痛んだ。

ラファエルは魔界に来て初めて会った時の様に静かに涙を流していた。



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