孤高の天使
涙の流れる頬に手を伸ばせばピクリと反応し目を見開くラファエル。
その瞳は元の綺麗なアメジストに戻っていた。
「ラファエル様…」
アメジストの瞳から伝う涙はとても綺麗で、けれど胸が締め付けられた。
無意識のうちに手はラファエルの頬へと伸び、涙の跡を親指の腹で拭う。
すると――――
涙を拭っていた手を取られ、手のひらに口づけをするようにラファエルが顔を寄せる。
まるで体温や鼓動を確かめるかのように…
熱い息が吐き出され、私を見つめるアメジストの瞳が細められる。
「君をまた失ったかと思った」
それはラファエルの心に巣食った絶望の記憶。
「また…この世界に俺だけを取り残して逝ってしまったのかと思った…」
消え入りそうな声が私の胸を深く抉る。
私は愛する人をこんなにも悲しませてしまった。
「ごめんなさい…ラファエル様。悲しい想いをさせてしまってごめんなさい」
やっと…伝えることができた。
“ごめんなさい”
それは記憶が戻ってからラファエルに再び会えたら伝えたいと思っていた言葉。
しかし…――――
「いいんだ…イヴ。君がこうして腕の中にいるだけで。それだけでいい…」
濡れたアメジストの目が細まり、頬に触れた大きな手に罪悪感を覚える。