孤高の天使


けれど今は不思議と不整脈の様な動悸が治まり、冷静さを取り戻していた。

それはやはりラナがこうして私の背中を支えてくれているからだろう。




「上手くいくか分からないからね」

『うん、お願い』


上手くいくか分からないなんて最初から分かっている。





それでも…――――


「“アザエル”」


ラファエルめがけて一直線に振り下ろされた剣がピタリと止まる。

愉しみを取られたアザエルは怪訝そうな目で私を見た。





「ラファエル様を殺させはしない」


意志を持って見据えた私にハッと我に返ったのはラファエルだった。





「イヴッ!やめろ!」

「ラナ!」


悲痛に響くラファエルの声を聞きながら強く声を上げた。



直後、背中に強い衝撃が加わった―――

痛みに目を閉じて、真っ暗な中先ほどのラファエルの声が思い出される。

きっとラファエルは数百年前のあの忌まわしい記憶が蘇えっている。

何もできずに愛する者を目の前で失う記憶が……

けど、昔と今では状況が違う。




もう絶対にラファエル様を一人にはしない。



< 387 / 431 >

この作品をシェア

pagetop