孤高の天使
「確か神殿にいたはずじゃ……」
続いたのはウリエルで、彼女もまた頭を押さえて何かに耐えていた。
皆を悩ませているのは恐らく空間転移の後遺症だろう。
大天使のガブリエルとウリエルでさえ頭を抱えているほどだ、フェイト、オリービア、オリウスは口元を抑えて未だ立つことすらできないでいる。
しかし、今の私にはその光景すら目に入っていなかった。
カランッ…――――
震える手で持っていた聖剣が手から零れ落ち、ゆっくりと振り返る。
聖剣を落とした音で皆の視線が集まるのが分かった。
「イヴ!?…とルシファーッ!?」
一気に警戒を強めたガブリエルの声に辺りが緊張に包まれる。
しかし、私が次にとった行動はその場にいた天使たちを更に動揺させることになった。
「イヴ、そいつから離れろ!」
「イヴ!」
ガブリエルとウリエルの声を耳に入れつつも、私は溢れる涙と震える体を抑えることが出来ず、その場から動けないでいた。
見つめるのは、私を今にも泣きそうなアメジストの瞳で見つめる貴方ただひとり。
振り返って目が合って、今更になってじわじわと沸き起こる恐怖や不安を私の目から読み取ったラファエルは私の手を掴んで引いた。
力の入っていなかった体はラファエルの方へ倒れ込み、あっという間に広い腕の中に閉じ込められた。
「イヴ、なんて無茶を…心臓が止まるかと思った」
息を詰めながら耳元で囁かれた言葉は聞いているこちらが切なくなるほど掠れている。