孤高の天使
そんな中、唯一私たちの関係を知っている天使が私の肩にそっと触れた。
「イヴ、良かったわね」
その声にラファエルの胸からハッと顔を上げて声の主を振り返る。
そこには地面に手をつき、やっとのことで起き上がろうとするラナの姿があった。
ラナの衣服は数分前まで純白の綺麗なワンピースそのものだったのに、今は見る影もない。
真っ白のな生地は擦れたように傷み、所々破れていた。
「ラナ!お前何でそんなボロボロなんだよ」
「煩いわね。怪我人の耳元で大きな声出さないで」
ボロボロのラナを見つけたガブリエルは先ほどまでこちらを警戒して一歩も近づかなかったくせに、簡単に距離を詰め、ラナの肩を掴んで揺らした。
「見てのとおりよ。こんな小傷程度どうってことないわ」
「なッ…お前な、俺はお前を心配してやってるんだぞ」
「あ、あんたに心配される覚えなんてないから!」
ラナは少し嬉しそうに照れながら、ガブリエルを押し返す。
そんないつもの光景を前に、ざわざわと揺れていた心もやっと落ち着いたような気がした。
「ラナ」
小さな声だったけど、ラナは私の呼びかけに気付き、こちらを向く。
ガブリエルを警戒するラファエルに「大丈夫だから」という意味を込めて微笑み、放してもらう。
「ありがとう。私のあの言葉だけで動いてくれて」
地面に倒れた時の小傷が残るラナの手を取り、ホッと安堵する。
そして、ラナに無茶をさせてしまったと後悔した。
今ラファエルがこの場にいるのもラナの能力のおかげだといっても過言ではない。