孤高の天使
「ラバル!」
その姿が目に入った瞬間、嬉々として声を上げた。
私をここに空間転移させる時、体を張って時間を稼いでくれたラバル。
アザエルになぎ払われて飛ばされて蹲った時はすぐにでも駆け寄りたかったが、あの時はそうするわけにもいかなかった。
無事な姿が確認でき、心の底から安堵するとともに、体は自然とラバルの方に駆け寄る。
しかし、私は…私たちは誰も気づかなかった――――
私たちの影でずっとこの時を待っていた者がいたことに。
復讐という名の積年の怨恨が立つことすらままならなかった彼を奮い立たせていたことに。
それは、私がラファエルの元を離れ、一人になるところを狙っていた。
「イヴッ!」
「イヴ様!」
「イヴお姉ちゃん!」
「死ねッイヴッ!」
気づいた時には皆に名を呼ばれ、一際大きな声で叫んだラファエルの方を振り向いた瞬間。
ドンッ…―――――
鈍く重い衝撃音と共に、漆黒の髪と大きな背が視界いっぱいに入った。