孤高の天使
神にとって生きとし生けるものは皆子のようなもの。
その子が争い、いがみ合い、憎みあうのは見ていられないのは神でなくとも同じことだ。
神の中からアザエルを救うことが出来なかった罪悪感が消えることはないだろう。
神の心が少しでも早く癒えればいい、そんなことを思いながら痴話喧嘩のように言い合う二人とそれを微笑ましく見守る神を見ていた。
ガブリエルとラナのやり取りを聞いていて、あっと思い出す。
ラファエルもアザエルに剣を突き立てられていた。
急所は外れていたし、ラファエル程の魔力をもってすれば命に別状はないがこのままにしておくわけにはいかない。
「ラファエル様も早く手当てを…」
言い終わらないうちに大きな体がこちらに倒れ、私は支えきれずにラファエルを受け止めたまま地面に座り込んだ。
そして、目に入ってきた光景に言葉を失う。
「え……」
ラファエルの肩に深々と刺さっていたのは私が先ほどまでもっていた剣。
聖剣だった……――――
「魔王様ッ!」
私の膝に頭を乗せて仰向けに横たわるラファエルを見てリリスが叫ぶ。
普段は冷静なイリスも神をルルに任せてこちらに飛んできた。
「聖剣がこんなに深く…」
肩に深く刺さった聖剣と眉を寄せて硬く目を閉じたラファエルを見たイリスは小さな声でそう呟く。