孤高の天使
「私の命がある限り貴方を見ていますよ、アザエル」
全ての者を包み込むような微笑みに、アザエルの顔から笑みが消えた。
「今更何を言うのかと思えば…」
代わりに、ギリッと唇を噛みしめ、薄い笑顔の裏に隠された憎悪が溢れ出る。
「見ているというと聞こえは良いが、所詮“見ているだけ”のこと。それは見捨てるも同然では?」
「貴様ッ!神がどれだけ…」
アザエルの言葉に憤慨したガブリエルが椅子から立ち上がるのを神が無言で制した。
それがアザエルの気に障ったようで、普段の偽りの仮面を張り付けた表情が次第に剥がれ落ちていった。
「偽善ぶった言葉を並べるだけとは、神の仕事も楽なものだな。私は貴方が手を下さなかったから自らの手で行ったまでのこと。私を死に至らしめた者たちに報復して何が悪いんだ」
この10年、何度審議を重ねてきたかは分からないが、アザエルはこれからも変わることはないことは明らかだ。
その生がある限り、神と人間を憎み続けるだろう。
「私たちはこれからも相容れることは一生ない。だからこんな話をしていても時間の無駄ですよ。早く罪状を下したらどうですか?」
「貴方の処罰は決まっています」
神はアザエルの非難に何を言い返すでもなく、ただ静かにそう言って口を開いた。