孤高の天使
「貴方には“天樹の檻”へ入ってもらいます。そして、貴方には天使たちが再生する天界を、人間たちがつくる未来を見届けてもらいます」
神が告げた処罰の内容にアザエルは耳を疑うように瞠目した。
天樹の檻とは聖なる母樹の樹の一部で造られた檻のことをいい、悪魔であるアザエルは檻に入れられたら最後、自らの力では出ることは出来ない。
けれど、多くの人間や天使を滅したアザエルには軽すぎる処罰だと誰もが思った。
皆、天界において一番重い処罰である“冥界送り”だと思っていたはずだ。
驚きに満ちた皆の視線を受け止めた神はゆっくり話し始める。
「人間は愚かです。けれどそれは私たちも同じこと。繰り返し、傷つき傷つけ合いながら少しずつ前に進んでいく。きっと数年、数百年先の未来には貴方の様な悲しい運命を辿る子供はいなくなるでしょう」
アザエルがピクリと反応し、表情が歪む。
「誰もが愛する人を奪われる悲しみは辛く、耐えがたいものです。けれど、それを受け入れ、それでも正しくあろうとする。それが真の強さなのだと私は思います」
アザエルは神がチラリと私に視線を向けて微笑んだのを逃さなかった。
「これにて審判を終えます。罪人アザエルは天樹の檻への投獄。本日をもって断罪とする」
隣に座るウリエルがそう締めくくり、アザエルの脇に控えていた天使たちが鎖を持って立ち上がる。
「最後に言い残すことはありませんか?」
呆然自失の表情をするアザエルに神は問いかけた。
すると、アザエルは先ほどよりも憎らしげに神を睨んで口を開く。