孤高の天使
「誰もがイヴのようだと思うな。私の中にある闇は消えない。そして、まだ貴方への復讐を諦めたわけではないんですよ?貴方がこの天界から私と私の家族を苦しめたように、私は貴方の愛する者たちを苦しめる」
「私がさせません」
険しい表情になった神にアザエルはフッと嘲笑を浮かべる。
「断言するのは結構だが、私はまだ切り札を持っている。そうだな…その手を使えばイヴは死ぬだろう」
不穏な言葉にざわめき、皆の視線が私に集中した。
切り札があるなど、ただいたずらにこの場を掻き乱したいから言っているだけだ。
それともこの状況に在っても余裕の笑みを浮かべるだけの何かを本当に持っているのだろうか。
強張った表情の下で考えてみるが、漠然とした不安が沸き起こるだけだった。
「それは脅しですか?」
「そうです。死は怖いでしょう?怖い想いをしたくなかったらこの手枷を外して私を解放しなさい」
そう言って手枷を私の前に突き出すアザエル。
突然動いたアザエルに四方に控えていた天使たちが慌てて宙に浮き鎖を引いた。
手枷からのびた鎖を持っていた天使が宙に浮いたことでアザエルは頑丈な金属でできた手枷ごと両腕を上から吊るされるような恰好となった。
この状況で何が出来るのだろうかと誰もが思うが、万が一のことを考えたのか、ガブリエルが私の周りを囲むように天使を配置させた。