孤高の天使
「あいつは…アザエルはどうなった」
怒りを殺したような低い声に、一瞬何と答えていいのか迷った。
「天樹の檻へ入ることになりました。神様が天樹の檻から私たちがつくる世界を見ていなさいって」
アザエルの処分を伝えながらラファエルの表情を伺うが、気持ちまでは読めない。
ラファエルはきっとアザエルがしてきた所業に対しての処分が天樹の檻への投獄だということには納得していないのかもしれない。
アザエルによって絶望の淵に落とされたことを思えば当然のことだろうと思う。
そう思うけど…――――
「アザエルは天樹の檻から出てくることはないから……だからもう復讐なんて考えないで」
この先訪れる幸せな未来のために、これ以上の悲しみは要らない。
訴えかける様に口にした私の言葉にラファエルは目を見張った後、困ったように笑った。
「初めは俺たちを引き裂いた原因を作ったアザエルを許すつもりはなかった。だが、今はもうどうでもいい。君がいてくれれば他は何も望まない」
ラファエルの言葉にほっと胸を撫で下ろすが、新たな不安が込み上げる。
それを口にしようか躊躇ったが、聞かずにはいられなかった。
「もし…私がいなくなったら?」
「考えたくもないが、それはどういうことだ?」
思い切って口にした言葉にラファエルはピクリと反応して口元に浮かんでいた笑みが消える。
やっと再会できたというのに、こんな悲しい例え話をする私に怒りを感じているのかもしれない。
けど、また世界を飲み込む闇を引き起こさないためにも、これは聞いておかなければならない。
「もしまたラファエル様の闇を引き出すために私が狙われて、囚われて。ラファエル様の目の前で私が滅せ…」
不意に伸びてきた手で口を覆われ、最後まで言わせてはくれなかった。
そして、私は傷ついた表情のラファエルを見て後悔した。