孤高の天使



「その先は言わないでくれ。例えの話だとしても聞きたくない」

「ごめんなさい。ただ…私はラファエル様にもうあんなことをさせたくないの。私のせいだって分かってる。けど、それでも闇に染まったラファエル様は見たくない」


悲痛に歪んだ私の表情を見たラファエルは今にも泣き出しそうな顔をしてフッと笑みを零した。




「君は酷なことを言うな。俺は君なしの世界では生きられないというのに」

「だから…」


私はラファエルの頬を両手で包み込み、すぅっと息を吸い込んだ。




「私はラファエル様のために生きる」


高らかと宣言した私にラファエルは驚きに目を見開き、口を閉じた。





「ラファエル様と一緒に同じ時を生きて、命尽きるまで一緒にいるから。だから、ラファエル様が独りぼっちの世界なんて来ない」


丸く象られたアメジストの瞳を真っ直ぐ見つめ、ひと言ひと言想いを強さに込めて口にする。




「神様が言ってた…真に強い者は悲しみや苦しみを受け入れ、それでも正しくあろうとする人のことだと思うって。私もね、そう思うの。愛する人がいなくなってしまうのはとても悲しくて辛くて、戻ってきてくれるなら何でもしたいって思うけど、死は等しくあるものだから」


そう言って微笑むと、息を飲んだ音が聞こえ、ラファエルの視線が外される。




「…っている……だが、もしその時が来たら、抑える自信がない」


絞り出すような声に私の心まで切なく締め付けられる。

私の体を支える腕に力がこもり、無意識なのかその腕に抱き寄せられた。


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