孤高の天使
「依存ともいえるくらい君の傍にいたのはそのせいだ。今思えば、俺の身勝手な愛情のせいで君の自由を奪って窮屈な想いをさせていたのではないかと思うんだ」
ラファエルはそこで話を切り、長く息を吐き出した。
そして、少し躊躇った後、僅かに震える口を開いた。
「さっきは君を取られるのは面白くないと言ったが、君ならこの先も良い出会いがある。俺が死んだら、俺よりも君を上手く愛せる人を見つけるといい」
胸を締め付けられるような吐露を聞き、ラファエルの両頬を包んでいた手をそっと持ち上げる。
「ラファエル様は嘘が下手だね」
眉尻を下げながらふわりと微笑むと、見開かれたアメジストの瞳から涙が一筋流れる。
親指の腹で流れる涙を拭って初めて、ラファエルは自分の頬に流れる涙に気付いた。
「そんな思ってもないことを口にしちゃだめ。心が痛くて悲鳴を上げちゃう」
本当は自分以外の者を愛してほしくないと思っているはずなのに、自分の気持ちを殺してまで私の幸せを願ってくれる。
けどねラファエル様、私だってラファエル様の幸せを願っているの。
ラファエルの涙を拭いながら私の頬にも涙が流れているのに気づく。
「心配しなくてもそんな人できないよ。私はずっとラファエル様だけを愛してる。出来るなら命が消えるその瞬間でさえも同じでありたいと思っているくらい大好き」
泣き笑いしながら伝えた言葉に、ラファエルは口をギュッと結び、私の体を静かに抱きしめた。
私を抱きしめたままのラファエルから小さく震える声が耳に入る。
「本当に…天使とも悪魔ともいいがたい中途半端な俺をずっと愛してくれるのか?」
「はい」
耳元で囁いた言葉に応える様に抱きしめられる力は強くなり、ラファエルは咽び泣く声を押し殺し、体を震わせた。
ラファエルの体を抱きしめ返しながら、過ぎた時に思いを馳せる。