孤高の天使



「アメリア様がこの城に来るのを許していたのに、イヴ様が来てから一歩たりとも入れませんし。」

「ルーカスにあんな冗談を言うなんて前ならあり得ませんでした。」


私が魔界に来てからの出来事をひとつひとつ話していく双子たち。

時折その場面を思い出しては、ふふ…と笑う表情は本当に嬉しそうだ。

クスクスと笑っていたイリスが少し眉を寄せて恥ずかしそうに笑いながら口を開く。




「私たち最初はイヴ様がルシファー様の地位を狙って近寄ったんだと思ってました。」


イリスがそう思うのも無理ない。

突然現れた私を傍に置くラファエル様の行動は私も戸惑ったんだから。




「けど…ルシファー様の表情を見ていて思うんです。」

「イヴ様はルシファー様にとってなくてはならない人ですわ。」


心から嬉しそうに笑う双子を前に罪悪感を抱く。

だって私はラファエル様の求める“イヴ”じゃないから…

複雑な思いを抱きながら難しい顔をしていると、双子がまた顔を見合わせて表情を曇らせる。





「イヴ様はルシファー様のことがお嫌いなのですか?」


窺うように問われたその言葉に暫し考える。

そして、自分自身も迷いながら口を開いた。



「嫌い…じゃないと思う。」


ポツリと答えれば双子がほっとした表情になる。



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