有明先生と瑞穂さん
(誰・・・?)

うっすらと目を開ける。

保険医が自分を起こさないように入ってきたのだろうか――?


それにしても少し早いような・・・



(あ、もしかしたら・・・有明先生が心配して――?)


足音を立てないようにその人物はゆっくりとこちらへ向かう。

瑞穂はカーテン越しにその人物の、服のこすれる程度の音のする方に目をやった。



「―――――!!」





(違う!!)



カーテン越しに見える影。


それは有明ではなかった。



このシルエットは・・・女性だ!!



その形からは小浜でもないことがわかる。



そう、あの目の細い女子生徒だ――。



「・・・・・・ッ!!」



シャッ!!



瑞穂が飛び起きるのと同時にカーテンが勢いよく開かれた。



「ぁ・・・・・・ッ」


恐怖がよみがえる。


細い目が恨めしそうに


瑞穂を睨みつける――





―――誰か助けて・・・!!!







***


「・・・~で、前回教えたこの公式の応用を~・・・」

静かなとある教室の中、小浜はある教師の授業を一番後ろの席でメモを取りながら見守る。

静まり返った教室にひとつだけ空いた席。


「じゃあ次のところを・・・出席番号の14番、答えろ」

「先生ー、・・・さんはいませ~ん」

 「どうした?休みか?」

「前の授業まではいたんですけどー」

「おかしいなー、具合でも悪いのか?」




小浜はその空席を見てクスリと笑った。
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