左目のマスカット味
部屋にあたしの、咳が響く。
「ケホッ、ケホッ、」
「もう嘘つかんとってな?」
目の奥は笑ってなかった悠。
だけど、頷くしかできなかった。
「いい子だね。」
「っ…はぁ、はぁっ、はぁっ、」
「お前……」
「はぁっ、な、なに…?」
最後なんて言ったん?
「なんでもない…、他の男にそんな顔見せんなよ?」
そう言って、右手であたしの頭を撫でる。
……頭撫でられるの好きなん知ってて、卑怯やわ。
こういう時だけ、思う。
…悠が好き。
「よし、服脱ごっか。」
「え? …ちょっ、なに!?」
あたしを無視して、器用にボタンを全て外し、キャミソールをめくり上げる。
露出されたのはさっきのアザ。
それと、あたしの胸。
「ちゃんとついた。…これ、俺のモノってゆう証やからな?」
とても嬉しそうにそれを指さす。
…今回のアザ、痕残らないといいけど。
「…もう分かったからっ、手ぇ放して?」
「なんで?」
「体勢しんどい。それに…」
「それに、…何?」
ここまで言っといて、余計恥ずかしくなってしまった。
なのに、わざとらしく顔を覗き込む悠。
「……む、胸、恥ずかしぃから…」