左目のマスカット味

「吏彩! 前遊びにきてた子!!」


「ああ、髪長い子??」


「うん。明日遊ぼうよってゆうメールが来てん」


「そっか。いってらっしゃい。」


「うんっ。 …てか悠 塾の時間じゃないん?」


「…あ、やべ。」


「あははっ(笑) 時間忘れてとったな! 早よ行って来たら?」


「おう。 …ほら、雨美立って?」

あたしの腕を引っ張って立たせる。


「ありがとっ。 じゃっ、いってらっしゃい!」


もう既にドアの前にいる悠に手を振った。


「あっ雨美、肩にゴミついてるよ」


そういって、肩に悠の手が伸びる。

当然、顔も近づくのだけれど…



「えっ、本当? ありが……っ!?」




…一瞬、唇に何かがあたった気がする。

柔らかいモノ。

一瞬だったけど、とても長く感じられる。


これを世にいう、“不意打ちのキス”でしょうか。







「じゃあね。」


ガチャン。




あたしは、また座り込んでしまった。







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