君がいれば・・・②
「……セナ 俺たち、何も考えずにただ幸せになる努力をしないか?」


唇が瀬奈の髪に触れる。



「努力……?」



一度はシンと別れようとしたのにこんな風に腕の中に閉じ込められていると気持ちが揺らいでしまう。



「そう、何も周りの事は考えない努力」



「シン……」



顔を上げるとシンの優しい眼差しとぶつかった。



「ユナの事は悪かったよ 同情心がセナを傷つけていた……」



そう話すシンの表情は本当に申し訳なさそうで瀬奈は泣きたくなるほど切なくなった。



「わたし……」



このままシンと一緒にいても良いかな?



そう聞こうとしたがシンが早とちりして言葉をさえぎった。



「セナ、悪い話は聞きたくない」



シンの人差し指が瀬奈の唇に触れる。



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