恋した私の負け(短)





今日もまたいつものように、彼の口からは彼女の話ばかりなんだろう。











「気が変わった!なぁ、デートしようぜっ」

「……はぁ!?」


久しぶりに2人で駅に出てきて、改札を抜けるとすぐに手を繋がれた。


「ちょ、手っ」

「なに、恥ずかしいの?女の子ぶっちゃって、かーわいっ」

「そーゆー問題じゃないだろ」


誰かに見られたらどうするんだ。彼女とか、彼女の友達とか、端から見たら立派な浮気現場だろう。

って言うか“ぶっちゃって”ってなんだ、こんなんでも歴(れっき)とした女子だっての。


「デートなんだし、手くらい繋ぐでしょ」

「デートじゃないし。繋いでなくても逃げないから、離せ」

「いーやっ。ほら、どこ行こっか」


……こんのクソヤロウ。





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