【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下



ぼんやりとしていると、いつの間にかスコールが止んでいるようだ。


ほう、と無意味な溜め息を漏らすと、そのタイミングで私の携帯が振動する。電波が悪くなくて、ホントに良かった。


「もしもし」


《何処に居やがる、この馬鹿!》


出てみると、声の主は、滅多に声を荒げない筈の、皆川会長。


「えと、近くの大きな岩が積み重なったとこにある、洞窟的なスペース」


私が答えると、皆川会長の小さな舌打ちが聞こえて来て、通話が切れる。


何だよ、なんて思って待ち受けの液晶を睨んでいると、直ぐに、ざざ、と足音が耳に届いた。


あ、鬼があの世から私達を死の世界へ導きに来たんだ。私、まだ死にたくねぇのに。
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