涙人


「そうだっ…」


志帆は何かを思い出したらしく、あたしに話しかけた。


「亜由那のお葬式、明後日だって。それを伝えに来たっていうのもあったんだ」

「明…後日…」


胸がドキンと高鳴るのがわかった。


「ねえ… 志帆」

「ん? 何?」

「……亜由那を殺した人間が、お葬式になんて出ていいのかな…?」


あたしの声は震えていた。


本当に自分が亜由那を殺してしまったのか、という疑問。


もし、亜由那を殺したのが事実だったとしても、今はその時の記憶がないからしょうがないんじゃないか、という開き直り。


悪かったと、という罪悪感。


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