涙人
そう言って、雫はあたしに小さな手帳を渡す。
何かの物語に出てきそうな高貴な手帳……
「何これ…?」
「それは涙人専用の手帳だ。仕事内容は全てそこに書き込む事になってる」
「ふーん……」
茶色い革の手帳。
初めて見るはずなのに、どこか懐かしい。
「仕事は明後日。まぁ、大丈夫だろ。何かあったら俺がフォローするから、安心しろ」
「面倒くさい」
「は?」
「何であたしが、んな事しなきゃいけないの? 本当面倒くさい」
あたしがそう言うと、雫は真っ直ぐあたしの目を見た。